「とんでもないです」は敬語?ビジネスシーンで使用できる?
「とんでもないです」は、複数の意味をもつ言葉でビジネスシーンでも使用しますが、使い方によっては相手に違和感を与えたり、不快にさせる恐れもある言葉です。この記事では「とんでもないです」の言葉の意味や使用の注意点、言い換え表現について解説します。
「とんでもないです」の意味
「とんでもないです」は、形容詞の「とんでもない」に丁寧語の「です」がついた言葉です。
「とんでもない」には以下の3つの意味があります。
1: 思いもかけない。意外である。「—・い人にばったり出会う」「—・い発明」
2: もってのほかである。「—・い悪さをする」
3: まったくそうではない。滅相もない。相手の言葉を強く否定していう。「—・い、私は無関係だ」
引用: goo辞書
1番目は予想外の出来事が起こった驚きの意味合い、2番目はあってはならないことを非難する意味合い、3番目は否定や謙遜を込めた意味合いというように、文脈によって意味が変わります。
「とんでもないです」は敬語?ビジネスシーンで使用できる?
「とんでもない」の敬語表現は、「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」が本来の敬語表現で、「とんでもないです」は間違った敬語表現だと認識されている方もいます。そのため「とんでもないです」は誤用と注意されることもあります。
しかし、「とんでもないです」は一般的な言葉として定着しており、否定や謙遜を込めた意味合いでビジネスシーンで使用することが多く、文化庁が1952年に発表している「これからの敬語」の中で「形容詞」+「です」は、簡素な敬語表現として認められています。
出典: 文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 第1期国語審議会 | これからの敬語(建議)
また「とんでもないです」を「とんでもありません」や「とんでもございません」と言う人が多くなっており、平成19年(2007)2月文化審議会答申の『敬語の指針』では、相手からの褒め言葉に対して謙遜しながら軽く打ち消す表現として「とんでもございません(とんでもありません)」を使っても問題ないとしています。
出典: 敬語の指針|文化審議会
「とんでもないです」や「とんでもありません」、「とんでもございません」の使用は、問題ないとされていますが、間違った敬語表現だと認識されている方に誤用と勘違いされるリスクや、違和感を与えてしまうリスクがありますので、お客さまや取引先、目上の人に対しては「とんでもないことです」や、より丁寧な表現の「とんでもないことでございます」を使用することをおすすめします。
相手からの褒め言葉に対して謙遜しながら軽く打ち消す表現として「とんでもないです」など使用する際、褒め言葉を否定する形になることがあり、場合によ手は相手を不快にさせる可能性があります。「とんでもないです」を使う際は、文脈や相手の立場を考慮し、謙遜しつつも相手を尊重する適切な表現を心がけるようにしましょう。
「とんでもないです」の言い換え表現
「とんでもないです」のほかに言い換え表現として使用できる表現を紹介します。
● 恐縮です
相手の御厚意がありがたくて申し訳ないといった心境の表現として用いられる言葉です。
感謝の気持ちをより伝えたいときは「ありがとうございます」というフレーズを加えるとよいでしょう。
〈 例文〉
お褒めの言葉をいただき恐縮です。ありがとうございます。
お忙しい中、迅速に対応してくださり、恐縮でございます。
● 恐れ入ります
謙遜と感謝の両方の気持ちを表す際に使用できます。
上司や取引先など、目上の人に対して使われることが一般的です。
〈 例文〉
お褒めいただきありがとうございます。恐れ入ります。
お忙しい中、迅速に対応してくださり、恐れ入ります。
● 光栄です
名誉や誇りに思うことを表し、喜びや感謝の気持ちを伝える言葉です。
より丁寧に言いたいときは「光栄に存じます」を使用するようにしましょう。
〈 例文〉
お褒めの言葉をいただき、身に余る光栄です。
お役に立てて光栄に存じます。
「とんでもないです」の言葉の意味や使用の注意点、言い換え表現について解説しました。相手や状況に応じて言葉の意味合いを理解し、適切な言い換え表現を使い分けることで、より良いコミュニケーションを築いていきましょう。