ビジネスマナー 基本ルールのおさらい【 名刺交換 編 】
名刺交換は、初めて対面する相手への挨拶と自己紹介として重要といっても過言ではありません。すでに新入社員の研修などで習得している名刺交換のマナーですが、気づかずにいつの間にか自己流になっているかもしれません。年度の切り替わりでご挨拶する機会が増える方もいらっしゃると思いますが。初めて名刺交換する場面で第一印象を損なわないよう、名刺交換の基本マナーをおさらいをしてみてはいかがでしょうか。名刺の渡し方とマナー、注意ポイントをご紹介します。
1: 名刺交換の事前準備
● 名刺入れの事前準備
名刺入れは、人柄が表れる小物で意外と見られています。汚れていたり、ほつれて傷が多いなど、手入れがされていない使い古した名刺入れでは、初めて挨拶する相手はどのような印象を持たれるでしょうか。だらしのない印象を与えてしまわないように、きれいな状態であることを一度確認しましょう。修理できるならば修理をして、心機一転、質・色・形などにこだわって新調するなど、名刺入れを見直しましょう。
● 名刺の事前準備
名刺を切らしてしまうと名刺交換ができません。お詫びして口頭で会社名や所属、氏名を伝えることになります。名刺切れは極力発生しないように、名刺の枚数を確認し、少なくなっていたらすぐに追加しましょう。名刺交換の機会が集中したり、複数人と名刺交換したあとは要注意です。あらかじめ名刺交換を多くなることがわかっている場合は、名刺入れのほかに予備の名刺を多めに持つようにすれば安心です。名刺があと何枚残っているか確認し、必要に応じて早めに名刺の印刷を手配しましょう。そして、出かける際は必ず名刺持参を忘れないようにすることが大切です。
● 意外と見られている指先と爪
手元が不潔だと感じられるより、清潔感があるほうがよい印象を与えます。見ようとしていなくても、名刺交換の際は相手の手元が目に入ってしまいますので注意しましょう。
2: 名刺交換のタイミング
名刺入れは、あらかじめ手元に用意しておき、すぐに名刺を取り出せるようにしておきましょう。挨拶する相手の前でお待たせしてしまうのは心証が悪くなってしまうかもしれませんので、相手の姿が見えたら名刺入れからさっと名刺を取り出せるようにしましょう。名刺交換のタイミングはさまざまですが、例えば会議室で相手と会うというケースでは、部屋に入り、最初の挨拶を交わしたあとに行います。
3: 名刺交換の順番
相手と自分の1対1の場合と、複数人でおこなう場合で、名刺交換の順番が異なります。
相手と自分の1対1の場合は、訪問者または目下の立場にある側から名刺を渡します。訪問先では、自分から進み出て名刺交換をするようにしましょう。先に訪問先の相手に名刺を渡されてしまった場合は、まずは相手の名刺を「頂戴します」と受け取った上で、改めて自分の名刺を用意し「申し遅れました」「ご挨拶が遅くなりました」など一言を添えて名刺を渡すようにしましょう。
相手が複数人の場合、状況によってはそれぞれ近くにいる人からランダムに名刺交換を始める場合もありますが、基本的に役職や立場が上の人から順に行います。ほかの人が名刺交換をしているあいだも、立っておくのがマナーとされています。
4: 名刺の渡し方
着席していても、相手の姿が見えたらすぐに立ち上があって出迎えましょう。名刺交換を行うときは、必ず立つようにしましょう。
名刺交換は、机の上で行いません。机の横へ回り込むなどして移動してから相手の正面で交換するのがマナーとされています。名刺交換するスペースがなく相手から机の上での名刺交換が求められるケースの場合は「机の上からすみません」と一言断るといいでしょう。
名刺は相手に読みやすい正面を向けて、名刺入れの上に乗せて、両手で持ちながら、社名・部署名・フルネームを名乗り相手に差し出します。このとき、相手が差し出した名刺の高さよりも低い位置で差し出すことで、謙虚さを表すことができます。
一度に複数の人と名刺交換をする場合は、あらかじめ渡す人数分の名刺を取り出しておき、名刺入れの間に挟んでおくようにします。そこから1枚ずつ渡します。受け取った相手の名刺は、名刺入れと下にある指で挟みます。
同時交換を行う場合は、お互いに名乗ったあと、自分の名刺を右手に持ち、相手の左手の名刺入れの上に差し出します。同時に、相手の名刺を自分の左手にある名刺入れの上で受け取ります。名刺を受け取ったら「頂戴いたします。よろしくお願いいたします」と答え、受け取った名刺に右手を添えて両手に持った状態にします。
● 名刺を忘れてしまったとき
肝心な名刺を、忘れてしまうこともあるかもしれません。その際は、正直に忘れたことを伝えるのではなく「申し訳ございません。ただ今、名刺を切らしておりまして……」と言ってお詫びし、口頭で自分の氏名や部署名などを伝えます。帰社後、お詫びの手紙を添えて名刺をすぐに郵送するなどの対応をしておくと、より丁寧です。対面せずに電話やメールで仕事が始まった場合は、資料などと送る時に名刺も一緒に送ると相手に安心感を与えることができます。
5: 名刺の受け取り方
名刺を受け取る時は、渡すときと同様、両手で受け取るのが基本とされています。「頂戴いたします」と感謝の意を伝えます。名刺を受け取る際に名刺の余白部分を持つようにし、名刺に印刷されている企業のロゴや氏名の上に、指を乗せないよう気を付けましょう。
受け取った相手の名刺は、立っている間は名刺入れの上に持ち、すぐに右手を添え、両手で持つようにしましょう。名刺を受け取ったあと、キープする位置も重要です。胸より上の高さに保ち、それより下がらないようにします。名前を読み上げて確認しましょう。難解な苗字や複数の読み方のある苗字の場合は、「どのようにお読みすればよろしいでしょうか?」と確認をします。
6: 受け取った名刺の扱い
受け取った名刺はすぐにしまわないようにしましょう。立っている間は名刺入れの上に持ち、椅子に座ったタイミングで机の上などに自分から見て左側に、受け取った名刺を名刺入れの上に重ねて置くのが基本です。受け取った名刺をはじいたり、折り曲げたりしては相手に失礼にあたります。名刺交換後や会話中はむやみに名刺をさわらず、机の上に置いておくようにしましょう。名刺の上に物を置くようなことがあってはいけません。
複数人が参加しており、手元に複数枚の名刺がある場合は、相手の座席順に机上に並べておくのがおすすめです。氏名と顔が一致し、商談や打ち合わせをよりスムーズに進行することができるはずです。その際、どれも名刺入れの上には置かず、すべて机の上に直接置き、相手の中で最も上の立場である人が分かる場合は、その人の名刺を名刺入れの上に乗せるようにし、相手の名刺を丁寧に扱う注意が必要です。
7: 受け取った名刺のしまい方
名刺交換した名刺は、商談や打ち合わせ中はしまわず、基本的にはその商談や打ち合わせが終了してからしまいます。名刺をしまう際はできるだけ相手より後になるようにしましょう。自分から先にしまおうとしてしまうと、早く話を終わらせたい、相手に興味がないのではないかなどと悪い意味に取られてしまう可能性もあります。しまうときに改めて「頂戴いたします」と一言添えれば、より丁寧な動きとなります。
相手によっては名刺を出し忘れたり、遅れて入ってくるなどで名刺交換のタイミングを逃がすこともありますが、そのような場合は、用件が終わって帰る間際に「恐れ入りますが、お名刺を一枚いただけないでしょうか?」と依頼しても、マナー違反にはなりません。
名刺の渡し方とマナー、注意ポイントをご紹介しました。名刺交換は第一印象が決まる大切な場面です。社会人として名刺交換は必須のビジネスマナーであり、スムーズにできるかによって自分の印象や今後の信頼関係に少なからず影響します。名刺は持ち主の分身であることを忘れずに、相手の立場にたち、好印象を持ってもらえるような名刺交換を心がけましょう。