個人情報保護法が改正されました
2022年4月1日から改正個人情報保護法が全面施行となり、個人情報の保護強化と事業者の個人データの活用を促進する内容が強化されました。事業者の負う責務が増え、違反のペナルティも強化されているため、知らなかったでは済まされません。事業者は個人情報に対する取り組みを見直すことが求められています。個人情報保護法改正の概要と対応するべき内容を、あらためてご案内いたします。
個人情報保護法とは?
個人情報保護法は正式には「個人情報の保護に関する法律」といい、2005年4月から全面施行されました。個人の権利と利益を保護するために、個人情報を保有する事業者が遵守すべき義務などを定めた法律です。
2015年に改正された個人情報保護法では、国際的動向・情報通信技術の進展・新たな産業の創出及び発展の状況等を考慮し、3年ごとに見直し・検討を行い必要に応じて改正されることになりました。2017年5月30日以降、個人情報を扱うすべての事業者が法の対象になり、取り扱う事業の内容が営利か非営利かは問わず、自治会・町内会、PTA、マンション管理組合、同窓会、サークル、NPO法人などの団体も、個人情報保護法の対象になりました。
2022年4月から全面施行となった改正個人情報保護法
「いわゆる3年ごと見直し」に関する規定に基づいて2020年6月に成立・公布された改正個人情報保護法が、2022年4月1日から全面施行となりました。今回の改正個人情報保護法は、見直し規定に基づく初めての法改正です。「個人の権利利益の保護」「情報活用の強化」「AI・ビッグデータへの対応」などを反映した内容になっており、6つの変更ポイントがあります。
改正個人情報保護法の6つの変更ポイント
改正法のポイントは大きく分けて6つあります。
- 個人の権利を強化
・保有個人データの利用停止・消去・第三者への提供停止を請求できる場面が追加されました。
・個人情報開示が書面だったのがデータでも提供可能になりました。
・第三者に提供できる個人データの範囲が制限されることになりました。 - 事業者の義務を強化
・漏えい等が発生した場合に、個人情報保護委員会と本人へ通知することが義務付けられました。
・個人情報の不適切な利用の禁止義務が明文化され、利用した場合には利用停止の対象となりました。 - 罰則を強化
・個人情報保護委員会の措置命令に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
・命令違反・データベース等不正提供があった場合に法人に科される罰金が「1億円以下」まで大幅に引き上げられました。 - 認定団体制度の見直し
・企業の特定分野(部門)を対象とする団体も認定が可能になりました。 - データ利活用の促進
「仮名加工情報」制度が新設されました。「他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別できないよう加工して得られる個人に関する情報のこと」をいい、改正後では自社内部での分析に限定するといったことを条件に、開始・利用停止請求への対応等の義務が緩和されました。 - 外国事業者の規制強化
国内にある者の個人情報を扱う事業者のうち、法に違反している恐れがある外国事業者に対して報告徴収・立入検査・命令が可能になりました。
「データ利活用の促進」により、情報の取り扱いは緩和されましたが、企業が取り組むセキュリティ要件は、より厳しくなっていきます。改正法に従った個人情報の取り扱いを行うため、プライバシーポリシーや、個人情報に関する社内規定の見直しを行う必要があります。
参考サイト
個人情報保護委員会 改正個人情報保護法対応チェックポイント
https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihogohou_checkpoint/
個人情報保護委員会 改正個人情報保護法 特集
https://www.ppc.go.jp/news/kaiseihou_feature/
個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(概要)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200612_gaiyou.pdf
個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(令和二年法律第四十四号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057_20220401_502AC0000000044
個人情報の保護に関する法律施行規則(平成二十八年個人情報保護委員会規則第三号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428M60020000003_20220401_503M60020000001
改正法の新旧対照表
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/200612_sinkyutaisyohyo.pdf