改正育児・介護休業法とは
育児・介護休業法とは
育児・介護休業法とは通称で正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。 この法律は、育児や介護をしながら働く労働者に対して、継続的な就業を支援することを目的に制定されました。
育児休業が単独の法律として成立したのは1991年、その4年後の1995年より介護休業制度を加えた「育児・介護休業法」がスタートしました。その後も労働人口減少や少子化に対応するべく7回の改正が行われてきました。 これまでは、仕事と家庭を両立することが非常に難しく、育児や介護のために仕事を辞めざるを得ないというケースが多く発生していました。こうした社会の「二者択一構造」を変え、労働者のワークライフバランスを実現するために、労働時間を短縮したり給付金を支給したりというサポートが規定されています。
当法律で定められている制度や措置には、次のようなものがあります。
育児休業制度 / 介護休業制度 / 子の看護休暇制度 / 介護休暇制度 / 育児・介護を容易にするため所定労働時間等の措置 / 育児・介護を行う労働者に対する支援措置
これらの制度や措置を就業規則等に取り入れることは、企業の義務となっています。従業員はこれらの制度や措置を利用する権利があるため、育児・介護休業法の制度の利用を理由とした解雇、降格、減給などの不利益な取り扱いをしてはならないとも規定されています。
育児・介護休業法に違反している場合、事業主は行政から報告を求められます。さらに、行政より必要な措置を講ずるように「助言」「指導」「勧告」を受ける場合もあります。また、「勧告に従わない」「報告を怠った」「虚偽の報告をした」などの場合は、罰則として、企業名の公表と最大20万円の過料が課されます。
育児・介護休業法改正の背景や目的
2021年に育児・介護休業法が改正された背景には、持続可能で安心できる社会をつくること、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革を実現することなどの目的があります。 希望に応じて男女ともに性別を問わず育児休業を取得しやすくし、特に世界各国と比較しても低い日本の男性の育児休業取得率、家事・育児参加率を上げることを目指して改正が行われました。
現在の日本において育児休業を取得している親の大多数は女性です。男性の育児休業取得率も増加傾向にあるものの、2020年の日本の男性の育児休業取得率は12.65%。女性の81.6%と比較するとかなり低水準です。厚生労働省が公開している「男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集」では、日本の夫の家事・育児関連時間は1.23時間。フランス、米国、イギリス、ドイツなどの先進国と比較して短かい時間です。 共働きが多数派となった現代の日本社会において、男性の家事・育児不参加は、出産意欲の低下による少子化や、女性のキャリア形成・就業機会を阻む原因ともなり得ます。
育児・介護休業等の取得を促進することで男性の家事・育児参加率が高くなれば、女性に偏りがちだった家事や育児のバランスが是正され、男女雇用格差の改善や少子化の歯止めにつながることが期待できます。また、育児・介護を理由に労働者がやむなく離職してしまうことなく、育児・介護と仕事の両立を図るために育児介護休業法が制定されています。
育児・介護休業法で定められている4つの制度
育児・介護休業法には、様々な制度や措置が設けられていますが、代表的なものに「育児休業」「子の看護休暇」「介護休業」「介護休暇」の4つの制度が定められています。ここでは、それぞれの制度について、簡単に解説します。
●育児休業制度
1歳未満の子どもを持つ労働者の育児支援を目的とした制度で性別を問わず、原則として子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得※できます。
また、仕事と育児の両立を支援する「パパ・ママ育休プラス」制度も設けられており、父母ともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月になるまでの間の1年間に育児休業を取得できます。
厚生労働省 育児・介護休業法について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
●子の看護休暇制度
小学校就学前の子どもを持つ労働者が、子どもの病気・けがをした際の看護または子どもに予防接種・健康診断を受けさせるため付き添いが必要な場合などに、休暇を取得できる制度です。労働基準法第39条の規定による年次有給休暇とは別に与える必要があります。 子どもが病気やけがの際に休暇を取得しやすくし、子育てをしながら働き続けることができるようにするための権利として子の看護休暇が位置づけられています。
●介護休業制度
労働者が要介護状態にある対象家族を介護するため取得できる休業制度です。要介護状態とは、負傷や疾病、身体もしくは精神上の障害などの理由から、2週間以上の「常時介護」が必要な状態をいいます。介護休業を取得できる期間は、対象家族1名につき3回まで取得でき、通算93日まで休業することができます。対象家族とは、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫です。
厚生労働省 介護休業制度のリーフレット
– マンガでわかる!介護休業制度
– 知っておこう。介護休業制度
– 介護で仕事を辞める前にご相談ください
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103533_00003.html
●介護休暇制度
病気、怪我、高齢などを理由に、要介護状態となった家族を介護する労働者が休暇を取得できる制度です。要介護状態にある対象家族の介護等を行う労働者が、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護等を行うために、休暇を取得できる制度です。
介護休業制度|厚生労働省
– 介護休暇とは
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/holiday/index.html